十五夜と聞くと、「今日は満月か。」とか、「中秋の名月」と呼ばれて昔からよく眺められてきたのだなぁと思います。
しかし、実際にいつなのか?とか、意味やお月見の仕方はよくわかっていません。
昔からなぜ、「中秋の名月」と呼ばれて愛されてきたのかを知って、ぜひお月見を楽しんでみませんか。
十五夜とは?
「中秋の名月」や「芋の名月」という呼ばれ方も同じような意味で、旧暦の8月15日(現在の新暦9月15日)前後に訪れる満月の日をそのように呼びます。
月が満ち欠けする様子や、その満ち欠けとともに農作物が成長することから、祖先とのつながりや農作物の収穫等と結びつけて感謝し、月を祈るようになったものといわれています。
十五夜とはいつ?
旧暦では、月の満ち欠けにより日付を決めていたので、8月15日の満月が十五夜でした。
また、旧暦で秋は、7月~9月となっており、その真ん中の日が8月15日になるため「中秋」と呼ばれます。
新暦では、9月7日~10月8日頃に当たり、9月15日が十五夜だと思われていますが、正確に言うと毎年違う日になります。
月の満ち欠けを基準にしていた旧暦と、太陽の動きを基準にしている新暦にはズレがあり、実際には毎年9月中旬~10月上旬の間に旧暦の8月15日がやってきます。
これだけ幅があると何かと大変なため、十五夜関連の行事を毎年9月15日に固定化している場合もありますが、正確には違うのです。
たとえば、2019年は9月13日、2020年は10月1日、2021年は9月21日というように、非常に幅があることがわかります。
実は、満月とは限らない?
十五夜というと満月と思われがちですが、厳密に言うと十五夜は必ずしも満月ではありません。
満月の日もあるのですが、どちらかというと十五夜と満月は、1日前後ずれていることのほうが多く、毎年変わります。
ちなみに、2019年の十五夜は9月13日で満月は9月14日、2020年の十五夜は10月1日で満月は10月2日、2021年の十五夜は9月21日で満月は9月21日です。
これは、月が新月から満月になる周期に、14日〜16日と振れ幅があるためです。
十五夜の意味
本来、「十五夜」とは旧暦の毎月15日の夜のことをさしていました。
月の満ち欠けは、およそ15日周期で新月(地球から見えない月)から満月へ、そして新月へというサイクルで繰り返されていますが、旧暦では、新月を毎月1日としており、15日がほぼ満月でした。
そして、旧暦の秋である7月から9月の真ん中になる8月15日に見られる月を、「中秋の名月」と呼んだのです。
十五夜は毎月あるのに、中秋の名月だけをお月見するのは、気候的にもお月見をするのに最も適した時期で、月がとっても美しく見える日だったのです。
そのことから、一般的に「中秋の名月」のことを「十五夜」と呼びます。
十五夜という風習は、中国では唐の時代からあり、そこから日本へ伝わって、平安時代には美しい月を愛し眺める文化が広まったといわれています。
そこから、お供えなどの風習が月の満ち欠けを見ながら農耕を行っていた農民たちによって、収穫への感謝や豊作を祈るお祭りとして広まり、「お月見」が形作られてきたようです。
十五夜に月を見て、うさぎがはねる
「 うさぎ うさぎ なに見て はねる
十五夜 お月さま 見て はねる 」
誰もが聞いたことがある童謡「うさぎ」です。
月の表面に見える模様が、「うさぎ」に見えることから、月にうさぎがいるという伝承が日本をはじめ、中国などアジア各地で古くからいわれています。自分自身も、子供のころにそう教えられたのを覚えています。
そして、そこから満月となった十五夜にうさぎの姿を見て、うさぎがはねる様子が童謡になったのだと思います。
うさぎが月に住むことになった由来が、インドのジャータカという仏教の説話に見られるといわれています。
昔々あるところに、きつね、うさぎ、さるの3匹が住んでいました。
3匹は自分達がケモノなのは、前世で何か悪いことをしたからではないか、それなら人の役に立つことをしよう、と話し合っていたそうです。
話を聞いた帝釈天(仏教の守護神の一つ)は、3匹に機会を与えてあげようと自らお腹を空かせた老人に変身し、3匹の前に現れます。
老人を見た3匹は助けようと考え、さるは木に登って木の実を集め、きつねは魚を獲って戻ってきました。しかし、うさぎはどんなに苦労しても、何も手にすることができませんでした。
何もあげることができないと思ったうさぎは、老人に向かって「私を食べて下さい」と言い、火の中に入って死んでしまったのです。
老人から元の姿に戻った帝釈天は、そんなうさぎを見て「その姿を月に残してあげよう」と、うさぎの亡骸を月に送ったといわれています。
十五夜の楽しみ方は?
ススキを飾り、月見団子を作り、空を見上げて美しい満月を眺めてみましょう。
なぜ、ススキをかざる?
十五夜の夜にはよく、ススキがかざられます。このススキは月の神様をお招きする「依り代(よりしろ)」としてそなえられます。
依り代とは、神様が依り憑く物のことで、本来は稲穂が主流だったようです。しかし、この時期に稲穂が揃わなかったことがあり、形が似ていることからススキが使われるようになったといわれています。
また、古くからススキには魔除けの効果があるとも信じられていました。そこで、お月見の後にお供えしていたススキを軒先につるすことによって、1年間病気をしないという言い伝えもあります。
なぜ、お団子をお供えする?
お月見の時に「月見団子」をお供えするのは有名な話です。ではなぜお団子をお供えするようになったのでしょうか。
元々は収穫された里芋などのイモ類や豆類がお供えされていましたが、江戸時代の後期になると五穀豊穣の感謝を込める意味で収穫したお米で作ったお団子もお供えされるようになったということです。そして、保存しやすいことや、形が月を表していることなどの理由から、お団子が定着しました。
また、丸い形は縁起がいいということで収穫だけではなく、お団子を食べることによって健康や幸せになれるとも考えられたようです。
このように、十五夜のお供え物は健康や幸せを祈願する意味もありますし、食べることによって神様との結び付きが強くなると考えられているため、食べてもいいといわれています。
おわりに
毎年の十五夜は、ススキを飾り、お団子をお供えし、そして食べながら綺麗な月を眺めて、1年の健康や幸せを祈りながら、過ごして欲しいと思います。
最後まで見ていただき、大変ありがとうございました。